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普段と何一つ変わらない、学校の帰り道。
他愛もない話で盛り上がれるのは、若さのなせる技。
周りの目なんか気にしたりしない。
遊戯や本田と肩を組んで笑い合って、獏良や御伽に呆れられて、時々杏子が「アンタ達、もう少し静かに出来ないの?」なんて窘める。
そんな遣り取りを繰り返しながら、この先の角でみんなと別れて、俺はひとり足早にバイトへと向かう。
これがお決まり。いつも通りだ。
「あ!飛行機雲!」
遊戯の声に釣られて視線の先へと目を向ければ、そこにあったのは眩しいくらいの青空。
そして、架けるように伸びる1本の雲。
俺は思わず目を細めた。
自然と足が止まって、ただ空を見上げる。
「ンだよ、遊戯。高校生にもなって、飛行機雲が珍しいのか?」
「珍しいって云うか、久しぶりに見たなァって」
「空なんて意識して見ないからね」
「でも、すごい青色。飛行機雲が目立って見える」
「本当、イイ色ね」
あお。青。蒼。
無意識に思い浮かんだのは、真っ直ぐに自分へと向けられる蒼い瞳の、
( )
…嗚呼、眩暈がしそうだ。
「城之内くん、どうしたの?」
もう大分前の方を歩いていた遊戯に声を掛けられ、我に返った俺は「おう、なんでもねェ!」なんて平静を装って駆け出した。
でも、アイツの顔が頭から離れない。
無駄に下らないこと云って大きな声で笑ってみるけど、振り払えるどころか、それはより一層鮮明になるばかりだ。
「じゃ、今からバイトだから!」
「頑張れよ」
「また明日~」
普段と何一つ変わらない、学校の帰り道。
他愛もない話で盛り上がれるのは、若さのなせる技。
周りの目なんか気にしたりしない。
遊戯や本田と肩を組んで笑い合って、獏良や御伽に呆れられて、時々杏子が「アンタ達、もう少し静かに出来ないの?」なんて窘める。
そんな遣り取りを繰り返しながら、この角でみんなと別れて、俺はひとり足早にバイトへと向かう。
これがお決まり。いつも通りだ。
あの飛行機雲にさえ、…空の蒼さに気付かなければ。
遊戯達と別れて直ぐに(一応みんなの姿が見えなくなったことを確認してから)、俺はまるで急かされているみたいにキズだらけでボロボロの携帯を取り出す。
着信履歴を開けば、もうアイツの名前は埋もれてしまっていて、探すのは面倒だとアドレス帳のボタンを押した瞬間。
不意打ちに、携帯が鳴った。
「…マジかよ」
画面に映る名前は、いままさに電話をしようとした相手。
この絶妙なタイミングに、驚きより先に笑みが零れる。
俺は笑い声が漏れないよう意識して携帯を耳に当てた。
「…これからバイトなんですけど」
「貴様の予定など、俺の知ったことではない」
相変わらずの俺様っぷり。
いつのもなら「お前の予定だって、俺の知ったこっちゃねェ」とかなんとか云い返して切ってしまうけど(それか、電話にすら出ない)、今日は全く正反対の気分な訳で。
少しでも長く会話が続くよう、俺はゆっくりと歩き出した。
「どうした?随分と話をするな」
「ちょっと気分がいいんだよ、それだけだ」
「そうか、俺からの電話がそんなに嬉しかったか!ワハハハハ!」
「…うるせー」
普段と何一つ変わらない、学校の帰り道。
他愛もない話で盛り上がれるのは、若さのなせる技。
周りの目なんか気にしたりしない。
遊戯や本田と肩を組んで笑い合って、獏良や御伽に呆れられて、時々杏子が「アンタ達、もう少し静かに出来ないの?」なんて窘める。
そんな遣り取りを繰り返しながら、あの角でみんなと別れて、俺はひとり足早にバイトへと向かう。
これがお決まり。いつも通りだ。
でも、今日は違う。
この空と同じ蒼い色の瞳をした男と一緒に歩いている。
それが例え携帯という電波を通してだとしても。
(だって俺もお前も、同じ空の下、お互いのこと考えてんだからな!)
「なんだ、珍しい。貴様が否定もしないとは」
「だから気分がいいって云ってんだろ」
「やけに素直だな」
「特別なんだよ!電話じゃなかったら、誰が云うか!」
「ふうん」
今日だけは素直になってやろうとか、やっぱり普段とは違うことをしてる俺。
まぁ、直接顔を見たら絶対素直になんかなれっこないけど。
文明の利器、万歳。
俺の足取りは軽く、笑顔は敢えて抑えなかった。
…バイト先の入り口から、コイツが電話をしてきていることを知るまでは。
【同じ空の下、いま君は何を思う】
(此処に来てんなら来てるって、最初に云えよ!阿保!)
(それでは貴様の反応が楽しめないではないか)
(悪趣味発言出たよ、これ!)
■■■■■
全く同じタイミングで、相手が自分のことを想ってくれていたことが嬉しかったんです。
携帯越しだから少しだけ素直になってみました。
もちろん「思い立ったが即行動」の社長には敵わなかったけど。
…って、お話でした。
補足しないと意味不明って、どうなの。